ワインの銘醸地ボルドー地方のすぐ隣に位置するマディラン地区は、フランスで最も古くから存在したぶどう栽培地域の一つです。でも、知名度の高いボルドー地方の影に隠れ、その価値が正当に評価されない時期もありました。そして、このマディランの復活に人生の全てを賭けたのが、ご紹介のアラン・ブリュモン氏(写真左)です。彼が特に力を注いだのは、この地方で古くから栽培されているタナットゥ種(タナ種)によるワイン造りの復興でした。本来、タナットゥ種のぶどうから色の濃い濃厚な味わいのワインが造られていましたが、マディランでは一時期、販売を重視したあまりに軽いスタイルのワインに変貌し、また、カベルネ・フラン種などのボルドー系のぶどう品種の導入によって、ワインのスタイル自体が失われた時期もありました。しかし、ブリュモン氏は本来あるべき姿のマディランを復活させるべく、自分の所有するブスカッセとモンテュスの2つの畑にタナットゥ種を植え、色の濃い濃厚なスタイルのワイン造りに取り組んだのです。その彼の情熱が実を結び、現在は多くの3ッ星レストランをはじめ、遠くアメリカからトム・クルーズ氏までもがワインを購入するため訪れるまでに至っています。なおブリュモン氏は、1991年にはフィガロ誌で最高の栽培者に選出され、1997年にはレジョン・ドヌールを授与されるまでになり、フランスワインの生産者の中でも一目置かれる存在の人物でもあります。