"スペインのワイン"

スペインワイン産地

ワイン用ぶどう栽培面積では世界第一位、ワイン生産量でも第三位のワイン大国スペイン。歴史的には古く紀元前1100年ごろフェニキア人によって ワインがもたらされたといわれていますが、他の多くのヨーロッパと同じく、ワイン造りが盛んにしたのはローマ人です。 その後民族の大移動とその後のアフリカ北部のムーア人(イスラム教徒)による長い支配の間にワイン文化は停滞しましたが、15世紀ごろキリスト教徒による国土回復(レコンキスタ)とともに再びワインが盛んに造られるようになりました。 スペインは国土が広い上に地域によって気候が異なるために、地域ごとの個性がはっきりとしています。

リオハ(Rioja)はマドリッドの北北東約250kmにあり、1000年以上のワイン造りの歴史を持ち、19世紀後半フィロキセラの害を期にフランスから移住した人たちがこの地でワイン造りを伝え進歩させてきました。 テンプラニーリョ(Tempranillo)、ガルナッチャ(Garnacha)、モナストレル(Monastrell)やグラシアノ(Graciano)など香り高いエレガントな赤ワインが、この地方のワインの約3/4を占めています。 スペインを代表する質の高いワインの生産地です

ナヴァラ(Navarra)は東はリオハ、西はピレネー山脈に接し、乾燥した大陸性の気候に恵まれ、従来ガルナッチャから造られるロゼが有名でしたが、近年それ以外にもテンプラニーリョ、グラシアーノ、マスエロなどの他、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどとテンプラニーリョを組み合わせた新しいスタイルの赤ワインが増えてきています。

ナヴァラ州の州都はパンプローナ(Pamplona)。 バスク文化が色濃い地方です。毎年7月始めに行われる牛追い祭り(サンフェルミン)では、男たちが細い路地を駆け抜け、牛達を追いかける(追い回される)ケガ人が出るのも想定内の荒っぽいお祭りですね。 このパンプローナから東に車で1時間ほどの緑多いピレネーの山間に私達日本人にゆかりのある人、フランシスコ・ザビエルが生まれたザビエル城があります。華麗さは微塵もなく、敵からナヴァラ王国を守るという目的を強く意識した戦闘的なたたずまいの城です。 ザビエルはここの貴族の家に生まれ、後にイエズス会に入信し、布教のために東洋を目指します。 この地方の風景は、司馬遼太郎の『街道をゆく 22、南蛮の道 I』をお読みください。

マドリッドの南ラ・マンチャ(La Mancha)地方は、ドンキホーテと風車でも知られる広大な地域で、スペイン全体の約半分のワインがこの地域で生産されますが、その多くはテーブルワインです。長年過小評価されてきましたが、最近では輸出が増え、この地方のワインは内外で評価を高めつつあります。

スペイン北東部、バルセロナのあるカタルーニャ(Cataluña)地方の中でペネデス(Penedés)地域ではフレッシュな白ワイン、中でもスパークリングワイン、カバ(Cava)が有名です。 カバは、シャンパンと同じ瓶内二次発酵で造られ、価格が手頃な上に品質がよいために、世界中で人気が出ています。また、プリオラート(Priorato)地域ではガルナッチャ種などから、州政府が認定するDOC高級赤ワインが造られ世界中で注目されています。

スペイン南部アンダルシア地方の中央にあるモンティーリャ・モリレス(Montilla-Moriles)は年間降水量が少ないうえに内陸性気候で寒暖の差が大きいため、糖度の高いぶどうができます。 その結果アルコール度が高く、敢えて酒精強化をすることなく、シェリーに似たタイプのワインを造ることができます。

熟成年数による分類

フランスのAOCやイタリアのDOCなどと同様に原産地呼称による格付けがあります。 最上級の品質と認められるDOC(Denominación de Origen Calificada)に指定されるのはリオハだけで、もう一つプリオラート(Priorato)はカタルーニャ州政府によりDOCの認定を受けています。 DO(Denominación de Origen)、 VdIT(Vino de la Tierra、生産地名付きテーブルワイン)、VdM(Vino de Mesa)と続きます。 一方スペイン独特の熟成度による分類があり、熟成期間の長いものから順にグランレセルバ(Gran Reserva)、レセルバ(Reserva)、クリアンサ(Crianza)、シン・クリアンサ(Sin Crianza)、ホーベン(Jóven)と区別されます。

グランレセルバは、赤については、樽で24ヶ月以上、その後瓶での熟成を含め合わせて60ヶ月以上熟成。 白とロゼについては、樽で6ヶ月以上、その後の瓶での熟成を含めて48ヶ月以上熟成。 レセルバは、赤については、樽で12ヶ月以上、瓶熟成を合わせて36ヶ月、白とロゼについては、樽熟成6ヶ月以上、瓶熟成を合わせて24ヶ月以上。 クリアンサは、赤については、6ヶ月以上樽熟成し、その後の瓶熟成を合わせて24ヶ月、白とロゼについては、樽熟成6ヶ月以上、瓶熟成を合わせて12ヶ月以上。

   

赤ワイン用ぶどう

テンプラニーリョ スペイン原産のぶどうで、成熟が比較的早い。 バランス良く、まろやかで豊かな香りとコクを持ち、長熟成に耐える高品質の赤ワインができる。
別名: ティント・フィノ、センシベル、ティンタ・ロリス、アラゴネス、ウル・デ・リュブレ
Tempranillo このぶどうから造られるスペインワインは 
グラシアーノ スペイン原産の赤ワイン用ぶどう種の一つで、充実したアローマを持ち深い色合いのワインを造る。主としてリオハ(Rioja)やナバラ(Navarra)地方で栽培され、長期熟成に耐えるためレセルバやグランレセルバに適している。
Graciano このぶどうから造られるスペインワインは 
ガルナッチャ スペイン原産。 甘さとスパイシーな香りを持ち、さわやかな舌触りに深いコクをもつ、アルコール度の高い赤ワインになる。 世界各地で最も多く栽培されている品種の一つ。 ブレンドされることも多いが、カタルーニャ地方のプリオラート(Priorato)地域で、ガルナッチャ種100%の長期熟成で造られる重厚な赤ワインが高い評価を得ている。
別名: グルナッシュ
Garnacha このぶどうから造られるスペインワインは 

白ワイン用ぶどう

アイレン Airén。スペインにおいて最も多く栽培されている白ワイン用品種で、主にヴァルデペーニャスやラ・マンチャ地方で栽培されている。 酸味が少なく、熟した果実やバナナ、パイナップル、グレープフルーツなどの香りを感じる飲みやすいワインになる。
Airén このぶどうから造られるスペインワインは 
テンプラニーリョ・ブランカ スペインのリオハは上質な赤ワインの産地として有名ですが、ヴィルラ、マルヴァシア、テンプラニーリョ・ブランカなど優れた白ワインも造られています。
Tempranillo Blanca このぶどうから造られるスペインワインは 
パレリャーダ カバ(スペイン産スパークリングワイン)の主要な原料品種で、豊かな香りと優しい味わいをもつ。
Parellada このぶどうから造られるスペインワインは