ワイン あれこれ
ガヴィ(Gavi)は1998年にD.O.C.G.に昇格したピエモンテ州の白ワイン。
ワイン名のガヴィは主要な産地である市の名前、ガヴィから付けられました。
ガヴィを造るぶどう種がコルテーゼ(Cortese)。フレッシュで切れ味のよい酸味を
持つ辛口の白ワインで、スティルワインのほかに、微発泡(frizzante)と発泡(spumante)
も造られます。
■ ガヴィのワインは、こちら
フランスワイン法上のカテゴリーで、日本ではさしずめ“地酒”或いは“地ワイン”に相当するかな・・・と思います。 ランクだけを見ると低いのですが、その分、法律の規定もおおらかで最近ではこのワインの様な、AOCワインでは考えられない「常識をはるかに超えた」ぶどう種配合で造られるワインが出てきています。
とはいえ、南部のラングドック地方やロワール川沿いのワインの中には、ヴァン・ド・ペイ(Vin de Pays)でありながら、産地表示が認められているものもあります。
つまり、選び方によっては、コストパフォーマンス抜群の“超”お買得ワインに出会えるかもしれません。 ただヴァン・ド・ペイと表示があっても、劣悪なワインもあるので慎重にお選びすることをお薦めします。
■ ヴァン・ド・ペイのワインは、こちら
リパッソ(Ripasso)とは、「元に戻す」という意味で、発酵の終わったアマローネ(Amarone)の樽に残った澱(オリ)の上に、
普通のヴァルポリチェラ(Valpolicella、 イタリア・ヴェローナ州のライトボディの赤ワインの一種)を入れ、更に2週間あまり発酵させる醸造方法です。
これによって、アマローネの力強さと黒糖カラメルの風味が加わり、通常の造り方では到底達し得ないレベルにまでワインの品質を高める効果があります。
こうして造られたワインは、手間がかかっている割には価格が手頃で、非常にコストパフォーマンスの優れたワインとして人気があります。
■ リパッソ製法のワインは、こちら
アマローネ(Amarone)はイタリア・ヴェネト州に伝わる伝統的な陰干し製法「アパッシメント」によって作られる、とても貴重なワインです。一房ずつ選りすぐったぶどうを、3ヶ月近く独特の「すのこ」に並べて陰干しにすることにより、エキスを濃縮させ糖度の高まったところでアルコール発酵、そして木樽で熟成させます。こうして、アルコール濃度が高く、リコリス、タバコ、イチジクなどの風味を感じる、リッチでボリュームに富んだ濃厚な赤ワインが生み出されます。
ビンテージから4年後にようやくワインは瓶詰めされ、さらに瓶の中で年を追うごとに熟成を重ねます。こうして、丹念に熟成されたワインはコルクを抜くと、気品に力強さと優美さが加わった華麗なワインが出現します。 他の追随を許さない恵まれた環境、伝統に裏打ちされた職人芸の賜物なのです。
■ アマローネ製法のワインは、こちら
ランブルスコ(Lambrusco)とはイタリアでも主にイタリア中部のエミリア・ロマーニャ州で栽培されるぶどう種、またこのぶどうから造られる
微発泡性赤ワインのことです。軽く、香り良く、アルコール度数は11%と低いので、野外でのバーベキューやあるいは軽い昼食でも楽しめます。
■ ランブルスコのワインは、こちら
ヴィーニョヴェルデ(Vinho Verde)とは一般にポルトガル最北部、大西洋寄りの広いミーニョ(Minho)地方で造られる、緑を感じさせる薄い黄色を帯びた特有の微発泡白ワインを指します。 ぶどうの完熟する約一週間前に収穫するため、アルコール度数が低くわずかに炭酸を含む清涼感あふれる非常にさわやかな風味になります。 名前は、直訳すると緑のワインですが若いワインを意味します。
ヴィーニョヴェルデとなるぶどうの一種ロウレイロ(Loureiro)からは、スプマンテも造られ、またヴィーニャオ(Vinhao)というぶどうからは赤の微発泡のものも造られます。
■ ヴィーニョヴェルデのワインは、こちら
ポルトガル北部・ドウロ川上流(アルト・ドウロ地区)で造られるポートワインは、約20種類もの黒ぶどうを混ぜて造られます。 ぶどうが発酵している間に何度か糖度を測定し、醸造責任者の理想の糖度になった時、スピリッツ(ブランデー)を添加し発酵を止め、樽詰めします。アルト・ドウロ地区で樽詰めされたワインは越年後、ドウロ川河口のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアの町まで運ばれ、そこで貯蔵・熟成されます。 貯蔵の終わったワインはメーカーによってブレンドされ、それぞれの製品 として出荷されます。なお、ワインの積み出し(出荷)はドウロ川河口のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア対岸のポルト市から行われるため、ポルト(Porto)=ポート(Port)という名がついたという由来があります。
■ ポートワインは、こちら
シェリー(スペイン語ではヘレス)はスペイン南部アンダルシア地方で造られる
アルコール強化され、食前食後に好まれることが多いワインです。
厳密には、カディス(Cadiz)県のエル・プエルト・デ・サンタマリア
(El Puerto de Santa Maria)、サンルカール・デ・バラメーダ(Sanlucar de Barrameda)、
ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)の3つの町で形作られる三角地帯で
造られるアルコール強化ワインのみがシェリーと呼ぶことを許されます。
ヘレスより少し内陸部に入ったモンティーリャ・モリレス(Montilla-Moriles)や
マラガ(Málaga)でも、シェリーと同じ製法で造られ、これらの地域の名前で呼ばれる
名高いワインがあり、これらを総称して『シェリータイプ』と呼ばれます。シェリータイプの
個性は、使用されるぶどう種と、この土地のアルバリサ(albariza)と呼ばれる
炭酸カルシウム、粘土、珪藻土からなる、極めて保水性に富む白い土壌によるところ
が大きいと考えられています。
使用されるぶどう品種はパロミノ(Palomino)、ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)、
モスカテル(Moscatel)の3種に限られるが、醸造方法、熟成方法により、異なった
タイプのワインになります。パロミノ種のアルコール発酵後、ワイン表面にフロール(Flor)
と呼ばれる酵母膜が形成され、これがシェリー独特の味わいを造り出します。
樽に移されたシェリーは『ソレラ(Solera)』という独特の方法で熟成されます。熟成期間が短い
ワインを最上に置き、少しずつ熟成期間の長いワインの入った樽を、順々に下に置き、
最下の最も熟成期間の長い樽(ソレラ)から出荷する。ソレラから減った分は、
一段上の樽のワインで補充し、その樽は更に一段上の樽のワインで補充します。この
プロセスを繰り返し、熟成3,4年から数十年を経て出荷されるものもあります。
こうして造られるシェリーには、色、香り、味わい、料理との合わせ方などに大変広い幅が
生まれます。
多くのシェリータイプのお酒では醸造プロセスでぶどう由来のスピリッツなどを用いて
酒精強化され、それぞれに定められた一定の濃度を保たれます。しかし、モンティーリャ・モリレス
では、大陸性の乾燥と高温下で育つペドロ・ヒメネス種が非常に高い糖度で摘まれ、
酒精強化をしなくとも高いアルコール度のワインになります。
『いくつかのタイプ』
フィノ(Fino): フロールで表面を覆われたまま熟成されるので、酸化熟成が抑制され、
淡い麦わら色、シャープでデリケートなアーモンドのような香り、ドライで軽い口
当たりのワインになります。アルコール強化時に、アルコール度数18%を超えないよう
に調整されます。
アルコール度:15-18%
アモンティリャード(Amontillado): フィノの段階を経て、第二段階の酸化熟成をしたワイン。
琥珀色で、フロール由来のキレのあるスパイシーな香が含まれる辛口です。
アルコール度:16-22%
オロロソ(Oloroso): 酸化熟成した辛口ワイン。元来辛口で、琥珀色からマホガニー色。クルミやナッツ
を思わせる華やかな香りが特徴です。スペイン語でにおいを意味する”オロール”に由来する高い香りを持
ちます。フルボディで充実度の高いワイン。 アルコール度:17-22%
クリーム(Cream): オロロソをベースにして造られ、濃いマホガニー色のビノ・ヘネロソ・デ・リコール。
木樽やレーズンを思わせる深みのある香り。ビロードのような口当たりで、甘くフルボディです。
アルコール度: 15.5-22%
ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez): 濃いマホガニー色で干しぶどうが持つ深い香りのワイン。ソフトでビロードの
ような口当たり。最も甘みが強く、豊かでバランスのとれたワイン。ペドロ・ヒメネス種の
ぶどうを天日に干して干しぶどうにしたものから造られます。
アルコール度:15-22%
■ シェリータイプ酒は、こちら
ヴィエイユ・ヴィーニュ(Vieilles-Vignes)とはひと口で言えば「ぶどうの古木」という意味ですが、ワインの場合樹齢30年以上の木、あるいはそれからできたワインを指します。
一般に、ぶどうの樹齢が高くなればなるほど収穫量は減っていきますが、逆にぶどうの質は良くなってくる…という性質があり、そのためにワインの世界では、この“古木”が珍重されています。
普通なら50年くらいでぶどう木を植え替えてしまいますが、中には80~100年、またそれ以上生き永らえる樹もあり、その様な樹を持つワイナリーでは、これらから収穫されたぶどうを別個に醸造し、ラベルにも「ヴィエイユ・ヴィーニュ」と明記して出荷されるのが通例です。
また、ヴィエイユ・ヴィーニュは、深い風味と余韻の素晴らしいワインが楽しめる…とワインファンの中でも大きな支持を得ています。
イタリアには、非常に厳しく、また細かに規定されたワインに関する法律がありますが、それにしばられずに造られたワインをスーパートスカーナ(Super Toscana)またはスーパータスカン(Super Tuscan)と呼んでいます。
スーパートスカーナはトスカーナ地方産の高品質ワインであることはもちろん、格付け的にはワイン法にしばられずに、VDT(テーブルワイン)やIGT(地酒のようなカテゴリー)に属するワインを指しています。
いくら品質が良く美味しく人が喜ぶワインを造っても、ワイン法の規定通りのワインが造れなかったら、DOCGやDOCを名乗る事は許されず、ランク(格付け)は下位に属されるのですが、このようなワインの「真の実力」を認めた英語圏のワインライターたちが、普通のVDT(テーブルワイン)やIGT(地酒みたいなカテゴリー)とは区別して、敬意を込めて「スーパートスカーナ」と呼び、それがまたたくまに世界中に広がったのです。
「アンフォラ」とは、古代ワインなど様々な液体や物品を運ぶために用いられた粘土の素焼きの甕の総称で、
取っ手が両方(amphi)にある容器(pherein)という意味のギリシャ語に由来するラテン語。
アンフォラを使ったワイン造りは、紀元前6000年頃ジョージアで始まったと言われ、
その後もヨーロッパ各地でこの容器を使ったワイン造りは細々と続けられていたようですが、
この伝統的な技術が人の介在を少なくしたいと考える自然派ワインの造り手に再認識され、
特に2010年以降イタリア北部、フリウリで現代のワイン造りに応用され始め、
その後世界各地に広まってきています。
土中に埋められたアンフォラ内は自然と低温に保たれるため、ワイン発酵と熟成がゆっくりと進行していきます。
素焼きの粘土の壁を通してワインに微量の酸素が供給されるので、木樽で造られたワインのようにまろやかで
優しい味わいが加わります。 また沈殿物が細い甕の底に溜る利点を生かして、清澄工程を省くことにも
つながります。
■ アンフォラワインは、こちら
ペットナットとは、Pétillant Naturel(ペティアン・ナチュレル)の略称で、
『弱発泡で自然のまま』という意味。 フランスに起源を持つスパークリングワイン
の製法の一つで、その特徴は、野生酵母を用いて醗酵させ、醗酵が完全に終わる手前の
まだ糖分が残っている状態で瓶詰めした後、瓶内で醗酵を進めます。
スパークリングワインほどの強いガス圧はなく、またろ過をしないので、澱が残り濁っていることが多く、
素朴な味わいが特徴です。
■ ペットナットワインは、こちら
工業的に作られる化合物が環境に及ぼす悪影響が顕著になるに従い、化学肥料や除草剤などを使わずに、
持続可能な生態を守ろうと、自然の中に存在する生き物由来の物質や、鉱物を利用してぶどうを
育てようとする生産者が次第に増えてきました。
さらに、地球と月や天体の位置関係が生き物の成長に及ぼす影響を体系的にまとめ、耕作、剪定、収穫などの
作業を行う農法がビオディナミ農法と呼ばれ、20世紀初頭にドイツのルドルフ・シュタイナーが始めました。
これをぶどう栽培に応用し造られるワインがビオディナミワインと呼ばれます。こうした方法で造られるワインに
ビオディナミの認定を行う機関として。DEMETERやBIODYVINなどがあります。しかし中には敢て公的な認定を
受けない生産者もあり、彼らの造るワインを、我々は"ビオディナミ未認定"と呼んでいます。
■ ビオディナミワイン(未認定を含む)は、こちら
ワインに使われる亜硫酸(sulfite)は硫黄を燃やして発生するガス、あるいは粉末のメタ重亜硫酸カリなどの形で、
中世以来世界中のワインに酸化防止剤として一般的に使われています。亜硫酸はワインの発酵前に酵母以外の有害な微生物の活動を抑えたり、ワインの酸化に関与する酵素の機能を阻害する役目を果たします。また、オリ引きの際や、瓶詰め後における酸化を防ぐことも大切な役割です。
さて、ワインに使われる亜硫酸の量は各国の食品管轄省庁の各認証機関による安全基準が定められていて、通常ほんの少し使用されるのが一般的です。
日本の食品衛生法における亜硫酸の基準では350ppmであることが規定されています。オーガニックワインでは、
赤ワインでは100ppm以下、白とロゼワインでは150ppm以下、またスパークリングワインでは155ppm以下と定められています(参照 欧州委員会規制 934/2019)
が、生産者によってはさらに低いレベルの亜硫酸を使用しています。
一方喘息やかゆみなど、亜硫酸に対するアレルギー反応を持つ人達のためには、これを含まないことが望ましく、我々の販売するワインにも「亜硫酸無添加(SO2フリー)」のものが増えてきています。 私共では、これら様々なオーガニックワインの品質を保つために、輸入、貯蔵、出荷などのあらゆる段階で厳密な温度管理を実施しております。
ぶどうが発酵する過程で、酵母によって微量の亜硫酸ガス(SO2)は発生します。これとは別に、通常ワインの発酵の過程でバクテリアの繁殖を抑えたり、保存中のワインの酸化を抑える目的で、亜硫酸(便宜上気体を指すSO2で呼ぶことがあります)が一般的に添加されますが、オーガニックワインでは通常のワインよりも使用量が少なく抑えられています。
オーガニックワインに関して設けられているEU内の統一基準では、赤ワインでは100 ppm、白ワインとロゼワインでは150 ppm以下と定められています。
さらに一歩進めて、頭痛やアレルギー反応などを懸念し、亜硫酸を全く添加せずに造られるのが「亜硫酸無添加」あるいは「SO2フリー」と呼ばれるワインです。
そのためにはタンクを清浄に保ち、空気との接触を最小限に抑えてワインの酸化を防ぐなどの工夫が行われ、SO2を添加しなくても安定した品質のワインが造られるようになってきています。こうしたデリケートなワインですので、ご購入後は品質を保持して頂くために、冷暗所に保存の上、開栓後はできるだけ早くお召し上がり下さい。
■ 亜硫酸無添加ワイン(SO2フリー)は、こちら
ナチュラルワインはローワインなどとも呼ばれ、ぶどうの栽培から生産過程に至るまで
人為的な介入を必要最小限に留めようという概念で造られる、今注目を浴びているワインを指します。
この種類のワインはオーガニックあるいはビオディナミ農法で造られ、亜硫酸はごく少量加えるか、あるいは
まったく加えることなく、また清澄やフィルターの操作も行いません。その結果豊かな自然の生態系を生かし、
独特の風味を持つワインが出来上がります。
とはいえ現在のところナチュラルワインの定義は明確とは言えず、また認定機関もありません。 造り方は各生産者の手に委ねられています。
■ ナチュラルワインは、こちら
"オレンジワイン"という呼び名はオレンジから造られるというということではなく、その色が黄色いことに由来します。
白ぶどうを使い、赤ワインと同じように皮や種と共に数週間から数か月の間漬け込みます。この製法自体は新しいものではなく、
エジプトやジョージアなど中近東から西アジアの地域で数千年も前に行われていました。 しかし、この製法が脚光を浴びるようになったのは、20年程前に自然酵母を使うワイン造りがイタリア北東部やスロベニアで行われ始めてからです。
皮と種から抽出されるタンニン、とりわけリグニンがオレンジ色とトロピカルフルーツ、ヘーゼルナッツやジャニパーなどの風味を与えます
オレンジワインは一般的な白ワインよりもわずかに高い10℃ぐらいが飲み頃でしょう。大胆かつ複雑な味わいを持ち、カレー、スパイシーな食べ物、牛肉、魚など様々な食べ物に合うでしょう。
■ オレンジワインは、こちら
ワイン造りのプロセスで、動物由来の物質(例えば豚や牛のゼラチン、魚の浮き袋由来のにかわ、卵白や牛乳たんぱく質など)を使い、ワインの中のたんぱく質、イーストや浮遊物質などを吸着除去し、澄んだワインを造ることがあります。
こういう動物由来の物質を使わずに、粘土(ベントナイトやカオリンなど)を用いたり、時間を掛けて濁りを沈殿させて造られるのがヴィーガンワインです。
Vegan Societyなどのヴィーガン認定団体がこのような製造過程を監査し、認定したワインにはそのロゴが裏ラベルに印刷されていれます。
中には認定を受けていないワインもあり、このようなワインを我々は"ヴィーガン未認定"と呼んでいます。
■ ヴィーガンワイン(未認定を含む)は、こちら
PIWI(ピーヴィ)とはカビ耐性ぶどう品種を意味するドイツ語のpilzwiderstandsfähige Rebsortenの略。
ブドウの病気(ウドンコ病、ベト病など)の原因となる菌に対して耐性を持つべく、1990年代初頭から
主としてドイツの研究所で開発されてきたブドウ品種の総称です。実験室内で遺伝子操作で生み出され
るのではなく、フィールドで人工交配によって作られます。現在ではヨーロッパを中心に各地で開発が進んでおり、
いくつかの例を挙げると、レゲント(赤)、メルロ・コルス(赤)、ブロンナー(白)などがあります。
(Ref:https://piwi-international.de/en/)
PIWIの出現によって、従来ぶどうをウドンコ病、ベト病などから守るために使われてきたボルドー液
(硫酸銅の水溶液)などの農薬の使用を大幅に減らすことができ、その結果環境の持続可能性を高めること
が期待されています。
■ PIWIで造られたワインは、こちら
これは難しいご質問ですね。
単純に言うと、フルボディは渋味が強い赤ワインで、ミディアムボディは渋味が中程度の赤ワイン・・・と、曖昧なご説明になってしまいます。
弊社ホームページのミディアムボディとかフルボディの表示は全て私達の感性で表示しています。つまり、試飲した赤ワインがコク・渋味・余韻等が濃厚に感じた時はフルボディ表示します。コク・渋味・余韻等が濃厚に感じても、全体のバランスが軽めに感じるとミディアムボディと表示します。
ただ、“赤ワイン”といっても産地や用いるぶどう、気候条件などによって味わいは微妙に変わりますので、例えばフルボディと表示したワインでも味わいはそれらの条件で変わります。 また、食事と共に飲む場合などは、その食材によっても左右されますので、また違った印象を受けたりもします。 手っ取り早い方法は、ご自分の好きなぶどう品種のワイン、例えばカベルネ・ソーヴィニヨンとかシラーとかを決められて、色んな国のワインを試されるとだんだんとお分かりになると思います。
ワインの保存場所について「温度」や「湿度」を管理する様、雑誌やテレビなどで色々言われています。諸説ある中で、優先して守らなければならないのは「直射日光」と「強い振動」を避けることでしょう。
その為には、最近購入される方が増えてきた“ワイン用冷蔵保存庫”が一番よいのでしょうが、数万円から数十万円の費用が掛かるでしょう。
こういった場合、温度や湿度は「可能な限り」理想(15℃・70%)に近づければよいのです。
2000円くらいまでのデイリーなワインで、若いうちに飲むタイプのワインなら神経質になる必要はありません。家庭用冷蔵庫は扉の開け閉めの度に温度変化が起こるので長期の保存には向きませんが、1~2週間程度ならほとんど影響はありません。
とはいえ振動は極力避けたいので、ドアポケットではなく「野菜室」がよいかも知れません。ただ、くれぐれも“におい移り”にはご注意ください。
日本ではシャンパンと呼ばれていますが、フランス語の発音は地方名と同じシャンパーニュ(Champagne)です。
もともと「シャンパーニュ地方のワイン」とよばれていたものが省略されて、「シャンパーニュ」とよばれるようになったものです。 シャンパンと名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方産の発泡性ワインだけで、しかも数多くの法的条件をクリアしたもののみに許されています。
ただ、世界にはシャンパンの名称は使えなくても、シャンパン製法で造られたおいしい発泡性ワインがいろいろな国々で造られています。 特に知られているものが下の各ワインです。
国 | 名称 |
フランス シャンパーニュ地方以外 | ヴァン・ムスー (Vin Mousseux) |
イタリア | スプマンテ (Spumante) |
ドイツ | シャウムワイン (Schaumwein) ゼクト(Sekt)はシャンパン方式、あるいはシャルマー方式 |
スペイン | エスプモーソ (Espumoso) カヴァ(Cava)はエスプモーソの中で本格的に瓶内発酵したもの |
英語圏 | スパークリング (Sparkling) |
また、シャンパンにはついては、糖度の違いによって味が分類されていて、呼び方が異なります(下表)。
名称 | 糖度 |
エクストラ・ブリュット (Extra Brut) | 極々辛口 |
ブリュット (Brut) | 極辛口 |
エクストラ・ドライ (Extra Dry) | 辛口 |
セック (Sec) | 中辛口 |
ドゥミ・セック (Demi-Sec) | 中甘口 |
ドゥー (Doux) | 甘口 |
一般のスパークリングワインでも、これに準ずる分類が行われていますが、シャンパンほど厳格ではありません。
スパークリングワインよりも、ガス圧が低い(3気圧)ものを微発泡ワインという名称で区分します。
かすかな泡立ちがあり、暑い季節にはさわやか感じがします。 イタリアのフリザンテ(Frizzante)、
ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデなどが代表的な微発泡ワインで、これらはいずれも白ワインですが、
赤の微発泡ワインとして、世界中で好まれるのがイタリア・エミリア・ロマーニャ州産のランブルスコ(Lambrusco)
です。
シャンパン製法は別名瓶内二次発酵法と言われ、人工的に炭酸ガスを加えて造る安価なスパークリングと違い、全く自然な方法であのきれいな泡立ちが造られます。
製法を簡単に説明すると下記の様になります。
(1) 通常の製法で白ワイン(ロゼワイン数%含む)を醸造します。
(2) できたワインに少量の酵母と蔗糖(リキュール・ド・ティラージュ いわゆる砂糖)を加えます。
(3) (2)のワインに王冠をし、地下セラーに置いておくと瓶内二次発酵がゆっくりと始まります。
この時、瓶の中で蔗糖は酵母の働きでアルコールと炭酸ガスになり、この時に生まれる炭酸ガスこそ、シャンパンのあの気泡なのです。
(4) その後3~5年の間熟成が行われ、その間に酵母の自己分解による独特の風味が加わります。また、キメの細かい泡持ちのよい性質が生まれます。
(5) 瓶内二次発酵で溜まったオリ(酵母カスなど)は数ヶ月間かけて瓶を倒立状態にし瓶口に集められます。この作業は“ルミュアージュ(remuage)”と呼ばれています。
(6) 瓶口に集められたオリは瞬間的に冷凍され、熟練したシャンパン職人によって取り除かれます。 この作業は、“デゴルジュマン(degorgement)”と呼ばれています。
(7) デゴルジュマンの際、オリを取り除くことによって目減りした分を補う作業が行われます。 この作業は、“ドサージュ(dosage)”と呼ばれています。
(8) 以上の細かい行程を経て、1本1本手作りでシャンパンが製品化されていきます。
世界的なワインの生産地の一つボルドーはフランス西部にあり、大西洋に面する港町ボルドーに流れ込むドルドーニュ(Dordogne)、ガロンヌ(Garonne)、ジロンヌ(Gironde)の3つの川沿いに広がる地域で、早くからワイン造りが行われていました。
ボルドーの街は紀元前400年頃にケルト人によって建設され、紀元前100年頃からはローマ帝国の支配下にありました。4世紀頃には、すでにブルゴーニュと並び銘醸地として知られていました。12世紀中頃からおよそ300年間イングランド領という時代があり、その後オランダやハンザ同盟との取引、西インド諸島との交易などで繁栄し、18世紀までにボルドー市街には多くの優れた建築物が作られ、現在この市街地が世界遺産に登録されています。
さてボルドーで造られるワインは、ほぼ全てがA.O.Cの格付けを持ち、大きく5つの地区に分類されます。メドック&グラーブ(Médoc & Graves)地区は、ガロンヌ川とジロンド川の左岸に広がり、ボルドーを代表する力強く複雑で香りの余韻が長く残る秀逸な赤ワインを生み出します。 サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック(Saint-Émilion, Pomerol,Fronsac)地区はドルドーニュ川右岸の丘陵地帯に広がり、優雅でビロードのような味わいのメルロが多く造られます。またコート(Côtes)地区は、3本の川が交差する地域の右岸に広がる丘陵に点在し、香り高く飲み心地の良い赤ワインが多く造られます。アントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)地区はガロンヌとドルドーニュの2つの大きな川に挟まれ、辛口白ワインが多く生産されます。そして、ソーテルヌ&バルザック(Sauternes&Barsac)地区では、ガロンヌとシロン(Ciron)の2つの川の温度差によって年間90日以上発生するといわれる霧が原因で生み出される貴腐菌がこの地方独特の甘口の貴腐ワインを生み出します。
■ ボルドーのワインはこちらから
北イタリア、ロンバルディア州のフランチャコルタ(Franciacorta)で造られ、イタリアでも有名な、DOCGがつく高品質のスパークリングワイン。
フランスのシャンパーニュと同様、瓶内二次発酵法で造られますが、シャンパーニュと比較して酸が控えめなので、このワインが持つソフトで調和がとれた味わいが日本食にもよくマッチします。
ドゥエミラヴィーニ誌(Duemilavini)は、イタリアソムリエ協会が毎年発行しているワイン専門のガイドブックです。
好ましいワインを示す2グラッポリから非常に卓越した5グラッポリ(ぶどうの房)まで4段階で評価されます。
2012年版では、約1800ページにわたり1600社以上のワイナリーが紹介され、20000本以上の試飲されたワインの中から、最終的に選ばれた400を超えるの『5グラッポリ』を受賞したワインを詳しいテイスティングノートが掲載されています。
ギィド・アシェット誌(Le Guide Hachette des Vins)は、フランスのアシェット社が1986年以降毎年出版しているフランスワイン専門のガイド誌として世界から厚い信頼をうけています。
ギィド・アシェット誌には、約800人のワイン専門家が数万本のワインを試飲し、その中から優秀と認められた8000本程のワインが掲載されています。
内容は、個々のワインについての醸造法などのデータのほかに、地区やAC毎に、ワイン単位で記述されていて、それらは無署名の注釈、星無しから3ツ星(最上級でラベル付き紹介)まで4段階の評価がなされています。
ですから、たとえ星無しであってもギィド・アシェット誌に掲載されるだけで、そのワインを造る醸造元にとっては大変な名誉となり、当然、以後のワインの売れ行きをも大きく左右するものとなります。 ある意味ではワインのミシュランと呼ばれるのもうなずける話です。
私どもにとっても、例えば南西部地方やラングドック地方など、あまり知られていない地域についての記述はとても貴重な情報源となっています。
ガンベロ・ロッソ(Gambero Rosso)、直訳すると“赤い海老”とでも言うのでしょうか… これはよくイタリアワインの評価に登場する名前で、ご存知の方も多いと思いますが、これはイタリアで最も影響力と権威のあるワインとレストランの評価雑誌の愛称です。
ローマに本部を置く”Gambero Rosso Editore(ガンベロ・ロッソ出版社)”とピエモンテ州にあるブラという町に本部を置く、”Slowfood(スロー・フード協会)”美食倶楽部”アルチゴ―ラ”の共同で出版され、正しい書名は"Vini d'Italia Gambero Rosso"。 堂々とワイン・ガイド界の王者に君臨するワイン・ブックで、この本における評価方法は「グラス」の数です。
評価は、まず州別の試飲委員会においてブラインドでカテゴリー別に試飲が行われ、ここで1グラス、2グラスまでの評価が行われます。そして特に優れていると思われるワインを委員が候補として提案し、最終委員会で更にブラインドテイスティングをして3グラスが決定されるのです。
ワインの場合は毎年発刊され、1~3のグラスの数によりワインの評価がくだされます。 1グラス(ウン・ビッキエーレ)を獲得するのも並み大抵ではなく、大半のワインは評価されずに終わってしまいます。 とりわけ最高位の3グラス(トレ・ビッキエーリ)ともなると、そのワインの人気は一気に爆発するほど多大な影響力をあらわしますので、ワイン醸造元もこれをめざして日々切磋琢磨するわけです。
フランスのミシェラン(Michelin)やアメリカのザガット(ZAGAT)などと並んで信頼されるグルメ関連の評価本の一つです。 そして、このガンベロ・ロッソが、リーズナブルな価格のワインを特集したワインガイドにアルマナッコ・デル・ベレベーネ(Almanacco del Berebene)があります。 これは年1回出版されるもので、イタリア各州の数あるワインの中から、特に注目に値するワインをオスカー賞に選ぶというものです。 それも通常は1つだけに与えられる賞であり、しかも、リーズナブルなワインにスポットをあてているという点で、大変に価値ある賞といえるでしょう。
ゴー・ミヨ(GaultMillau)とは料理評論家のアンリ・ゴー(Henri Gault)とクリスティアン・ミヨ(Christian Millau)により書かれた、フランスで強い影響力を持つレストランガイドの一つです。1969年創刊。
コート・ドール(Cote d'Or)とはフランス・ブルゴーニュ地方にあるワイン生産地区のひとつで、更に北部のコート・ド・ニュイ(Cote de Nuits)と南部のコート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)に分かれ、全体としてブルゴーニュワインの中心地として世界的に知られるワイン産地を示します。
コート・ドールを直訳すると黄金の丘陵という意味になりますが、なぜ”黄金”なのかについては、いくつかの説があります。
■ 最高級ワインは大きな額で動くので金が入るから、つまり経済的な意味で文字通り”黄金の丘”と呼ぶ説。
■ 秋になるとぶどう畑は黄金色の葉をつけ、コート・ドールは一面金世界になる・・という説。
ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)。
この言葉はすっかりおなじみになりました。
毎年11月になると、「初出荷されました」「新酒です」ということで、テレビや雑誌にも取り上げられて盛り上ります。
でも一方では「味はたいしたことないらしいよ~」という意見も聞きます。
ボジョレー・ヌーヴォーは正確に言うと、フランスのブルゴーニュ地方のボジョレー地区でその年に収穫されたぶどうで造られた"新酒"を指します。
ご存知の様に、解禁日も11月の第3木曜日とフランスの法律で決まっています。その年に収穫したぶどうで造ったワインを初めておろして、一年の労働の成果を喜び合おうということなのでしょうね。フランスでは、そういうお祭り的な意味合いが強いようです。
さて、ボジョレー・ヌーヴォーは、実は造り方が普通のワインとは少々違います。
たいていマセラシオン・カルボニックという特殊な製法で造られているのです。
まず、その年の収穫した黒ぶどうを縦型で大きな密閉式のステンレスタンクにいっぱいに詰めます。 ただし、ぶどうの粒は破砕せずにそのままにしておきます。 そして、炭酸ガスに数日間さらしておくというものです。
その際、炭酸ガスを外から注入する方法もありますが、ボジョレー・ヌーヴォーの場合は、自然に発生する炭酸ガスに頼る方法を採ります。炭酸ガスが「自然に発生する」というのは、ぶどうをタンクに詰めたとき、その一部が勝手に潰れて発酵するおかげです。
そんなこともあってか、ボジョレーの人々は、「我々のワインはマセラシオン・"カルボニック"(炭酸漬け)ではなく、マセラシオン・"ナチュレ"(自然漬け)だ」と言います・・・。
うーん、やっぱりフランス人は誇り高いのでしょうか…。
さて、炭酸ガスにさらされている間に、ぶどうは軽い細胞内発酵を始め、細胞膜が破れやすい状態になります。
これを圧搾し、その液を白ワインの場合と同様にさらに発酵させ続けます。
その結果、香りが非常にフルーティで、色がよく出ている割りにはタンニンによる渋味の少ない、フレッシュな味わいの赤ワインに仕上がります。
色がきれいで、なおかつフレッシュで飲みやすい赤ワイン・・・。 これこそがボジョレー・ヌーヴォーの最大の魅力です。
しかしそのせいか、渋くて濃い赤ワインが好きな人たちは・・・「本格的なワインじゃないよなぁ・・・」と言って馬鹿にする(?)傾向があるのも事実です。 でも、これこそがひとつのポイントです。 少し冷やして、白ワイン感覚でぐいぐい飲むと、かわいらしい苺みたいな印象もあり、かなりイケるんです!
ところで、実は一般にボジョレー・ヌーヴォーと呼ばれるものは、その製法の特殊さゆえに、できれば年内に、遅くとも翌年の春までには飲んでしまわないと風味が落ちてしまうものなのです。 これも要注意ポイントです。
ボジョレー・ヌーヴォーは出来るだけ早めにお召し上がりください。
私達もよく使う表現のひとつです。もちろん瓶の重さが「重い」とか「軽い」とかを言っているわけではありません。
ワインの味わいには「コク」や「厚み」、また「ボディ」などと言われる要素があります。アルコール分やエキス分(水分以外の成分)が多いと「コク」、「ボディ」を感じ、こうしたものが強いワインほど「重い」、別の言い方では「フルボディ」、そうでないワインを「軽い」、「ライトボディ」と呼んでいます。
ですからその中間が「ミディアムボディ」という表現になるわけです。 これはワインの値段や品質とは全く別の基軸になり、「重い」から高価で、「軽い」から安価…というわけではありません。
特に、専門家や我々ソムリエがワインを評価する時は、ボディのあるなしも重要ですが、全体のバランスを第一に見ます。
貴腐ワインは、その字の如く“高貴に腐った”ぶどうから造られます。ただ“腐る”というのはチョット語弊があるかもしれません。
貴腐は簡単に言うと、完熟したぶどうの房にボトリティス・シネレアというカビ菌がつくことにより、果皮のロウ質がこわされ、果汁中の水分が蒸発し、糖分が著しく濃縮され、ぶどう果が乾ぶどうの状態になることをいいます。(写真左)
そのぶどうを使って造られるため、濃縮された、それはそれは甘美なワインが出来上がります。
ちなみに、世界の三大貴腐ワインは、
■ ソーテルヌ(Sauternes)及びバルザック(Barsac): フランス ボルドー地方ソーテルヌ地区
■ トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese): ドイツ 各地方
■ トカイ(Tocai): ハンガリー トカイ地方
日本を含め、他のワイン生産国でも時々貴腐ぶどうが収穫され貴腐ワインが造られますが、一粒一粒手作業で選別しなければならず、手間がかかる上に収穫量が極少量なので高価なワインになってしまうわけです。
ちなみに、一番有名とされるソーテルヌの“シャトー ディケム”では「ぶどうの樹1本からワイン1本」と言われるほどです。当然価格は5桁が相場で、ちょっと古いヴィンテージだと軽く6桁に突入してしまいます。
貴腐が発生する条件としては主に、午前中(朝)は湿度が高く霧が発生し,午後は晴天になる…といった気候です。
ただ、ボトリティス・シネレア菌は環境に大きく左右され、その後の天候や管理次第でぶどう果の腐敗というリスクさえ覚悟しなければ得ることのできない貴重なものです。一歩間違うと時には有害で灰色カビ病を発生させる原因になります。(写真右)
簡単に言うと、ドメーヌ(Domaine)とは、ぶどうを栽培して、ワインを醸造する人(会社)のことをいいます。
ドメーヌという呼び方は、ブルゴーニュ特有の呼び方で、ボルドーでは大半がシャトー(Chateau)と呼ばれていますが、基本的にはドメーヌと同じ意味と思って頂いて間違いありません。
こうなった理由は様々ですが、その一つに、ブルゴーニュ地方ではワインをその産地名で呼ぶ事が大半だからでしょう。
例えば、ブルゴーニュ地方の著名なワインに“シャブリ”がありますが、シャブリには何百、何千の銘柄があり、ただ単に“シャブリ”では区別がつかないこともあります。
こういう時、我々の業界では「○○の造ったシャブリ=シャブリ ドメーヌ○○」で区別し、認識しています。
よく専門ショップなどで「シャブリ下さい…」といっても通じない時がありますが、こういう理由によるからです。
でも、親切なショップでは「当店ではドメーヌ○○のシャブリがあります…」ときちんとドメーヌ名を教えてくれるでので、美味しかったワインは、特にブルゴーニュワインは必ず「ドメーヌの名前」を控えておく事をおすすめします。
主にフランス・ボルドー地方のメドック地区やグラーヴ地区、またその他の地区の優秀なシャトーではセカンドラベルと呼ばれるワインを売り出しています。
現地では“スーマーク”と呼ばれ、英語圏では“セカンドボトル”とも呼ばれています。
シャトー(ワイン蔵)「タルボ」(写真左)を例にとりますと、シャトー・タルボの畑で収穫されたぶどうはそれを搾って樽で発酵させますが、醸造段階でどうしてもシャトー・タルボの厳しい基準に達しなかったワインが出てきます。
主に樹齢の若いぶどう木のぶどうから醸造されたワインがそれに当たりますが、それらは一旦外されてしまいます。 ただ、外された…といっても高いレベルにあるワインですので、それらのワインをさらに選別した結果、造り出されるのが写真右のセカンドラベル「コンネターブル」です。
セカンドラベルといってもは栽培から醸造まで全てシャトー・タルボと同じ手間ひまをかけて造られたものですし、セカンドラベルとしての厳しい基準も設けられていますので、セカンドラベルのレベルに満たなかったものはやはり排除されてしまうのです。
ですから、決して決して「二流のワイン」という意味ではありません。価格的にもお買い得ですし、シャトーの雰囲気を十分に持ったワインという意味合いに捕らえて頂いた方が良いと思います。
ちなみに、最近ではイタリアやカリフォルニアのワイナリーでもこの“セカンドラベル”を発売しているところが増えてきています。
“赤ワインは室温で…”
これはワインの飲み頃温度を示す時によく用いられるている表現です。
でも、四季のある日本では同じ室内でも夏と冬の温度差は30度前後も違うので、一概に“室温で飲む”とは言えません。 この“室温”とは、おおよそヨーロッパの地下セラーや石造りの部屋の室温を指していて、15~18℃の範囲を表しています。
つまり、同じワインでも温度が違えば味わいも大きく違って感じられてしまいます。 温度が高すぎれば一般的に味に締まりがなくなり、冷やしすぎればまろやかさが失われ、香りが少なくなります。
渋味があって味のしっかりした熟成タイプの赤なら18℃前後、夏の暑い日では、冷蔵庫で30分程度冷やした状態です。 同じ赤でも軽くてフルーティなタイプはもう少し冷たく15℃前後、ボジョレー・ヌーヴォーのような若飲みタイプでは10~12℃ぐらいが良いでしょう。
白ワインは一般にドライなタイプで10℃前後が飲み頃ですが、これもコクのあるタイプかさっぱりタイプかで2~5℃くらい上下します。 甘味のあるタイプやさっぱりした酸味の多いタイプ、またガスを含んだスパークリングワインは5℃くらいに冷やすとおいしく召し上がっていただけます。
ちなみに急いで冷やしたい時には氷水を使うのがベスト。 ワインボトルを肩までつけておけば10~30分程度で冷えますのでとっても簡単に、しかも美味しくワインを召し上がっていただけます。
ワインの香りを表現するときに使うアロマ(Aroma)とブーケ(Bouquet)、たいていゴチャゴチャに考えられている場合が多いですよね。
大きく分けてワインの香りには、そのぶどうが本来持っている香りと、樽や瓶で熟成して生まれる香り(熟成香)とがあります。 ぶどうが本来持っている香りをアロマと呼び、熟成香をブーケと呼びます。 ちなみに、アロマはギリシャ語のアローム(香り)、ブーケはフランス語の花束に由来します。
私達はアロマを表す時に“果実の香り”をよく用いますし、ブーケを表す時には“バニラや花、木の実、蜂蜜”など様々な言葉で表現します。
ある有名なソムリエは“なめし皮の香り”や“トリュフ”などの言葉も使っています。 「この表現でないといけない」というきまりはありませんので、ご自分の感じたままをメモしておかれると、後々ホテルなんかでワインをオーダーする時に自分の好みをソムリエに伝えやすくなるかも知れません。
栓を開けてワインをグラスに注いだら、まず香りからお楽しみください。
ワインショップやデパートのワイン売り場をみてもほとんど立って並んでますし、寝かせているのは高級品ばかりですが…
これにはそれぞれ意見を持つソムリエがいますが、今回は私の考えを申し上げます。
ご存知の通り、ワインにはいろいろなタイプがありますが、結論からさきに申し上げると、
横にする必要があるのは“コルク栓を使ったワイン”で、しかも今日や明日に飲む予定のないワイン、とお考えください。
コルクというのは、乾燥すると固くなり、ほんの少しですが縮んでしまいます。そうするとその縮んだ
わずかな隙間から瓶の中に空気が入り、中のワインが酸化(変質)してしまいます。
コルクの持つ本来の特性を発揮してワインを保存するためには、瓶を横にしてコルクとワイン
を触れさせておく必要がある、というわけです。
特にシャンパンなどの炭酸ガスを含むワインは、ガスが抜けやすいですので必ず横に寝かすか、
極端な場合、瓶を逆さまにして保存されることをお薦めします。
また、古いヴィンテージなどの、しかもオリをいっぱい含んでいそうなワインは、オリを静める為に1~4週間
くらい立てたままの状態で保存されることをお薦めします。そうすればオリは瓶底に溜まりますので、
オリを舞い上がらせない様にゆっくりとグラスに注げば召し上がる際もほとんど気になりません。
(もちろんデカンティングという方法もありますが…)
ショップなどで立てて陳列しているのをよく拝見しますが、回転のよい、よく売れているワインなら立ってても
かまわないと思います。ただ、ほこりがかぶってて、しかもこうこうとライトが当たり、部屋の温度も高い…
となると疑問です。こうなるとワインを立てる、寝かす以前の管理者の意識の問題だと思います。
また、スクリューキャップやプラスチック素材を栓に使った瓶は、特に横にしなくても大丈夫ですし、
飲み残したワインにもう一度コルクで栓をした場合も、わざわざ横にする必要はありません。
温度・光の管理を最低限してやれば良いでしょう。
コルクは、細胞内には天然のワックスが含まれているので気体も液体も通しにくい上に、優れた弾力性を持っているために、
長時間の保存に耐えるワイン栓として長年使われてきました。 ところが、打栓したボトルの5-6%に、いわゆるコルク臭
(カビ臭さ)があることが、いくつかの研究で指摘されてきました。その原因が、主としてTCA(トリクロロアニソール)という物質
であることがわかり、コルク栓生産業界では、これを除く方法を開発するとともに、粉砕したコルク粒子と合成ポリマーから作った
合成コルク栓や、プラスチックの栓やスクリューキャップが使われるようになってきました。 この中で密閉性が最も高いの
はスクリューキャップであり、しかもTCAの心配がないので、フレッシュでフルーティーなワインには最も適しているかも
しれません。 しかしながら、栓を通して、少量の酸素が入り込むことが瓶内熟成に必要であるかもしれない赤ワインなどにも
使えるか、など今後も検討が必要なようです。
長らくワインに親しんでいると、良質のコルクが望ましいと思ってしまいますが、コルクを提供する木(コルク樫)の資源を
守らなければならないですし、プラスチックの場合には生産や廃棄の過程で環境に悪影響を与える可能性があります。
伝統的コルクを栓抜きを使って抜くという「儀式」にこだわらないなら、これからはスクリューキャップが望ましい
のかも知れません。
ポリフェノール(polyphonol)とは、芳香環に水酸基を2つ以上もつフェノール類化合物の総称で、赤ワインの風味を造る上で最も重要な物質でしょう。ワインには数百種類にも上るポリフェノールが含まれるのですが、そのほとんどが種皮に含まれることが、赤ワインに多く含まれる理由です。ポリフェノールは化学構造の特徴から、フラボノイドと非フラボノイドという2つのグループに分類され、前者にはアントシアニンやカテキン、タンニンなどが含まれます。 ポリフェノール分子同士が結合し大きな分子になると、渋みがまろやかさに変わります。 また、赤色色素のアントシアニンは酸化すると褐色に変わりますが、タンニンと結合したものは酸化しにくく、安定した色を生み出します。
さて、タンニンですが、ワインに渋みや味の深みを与える重要な成分ですが、一つの化合物ではなく、一群の複雑な物質を指します。糖と没食子酸と結合し、水の中で分解しやすい加水分解性タンニンと、フラボノイドがいくつも縮合して大きな分子になった縮合型タンニンに分かれます。 しかしタンニンは、他の分子と結合して大きくなりワインに溶けきれずに沈殿することがある一方、酸性の環境下で小さい分子に分解される可能性もあり非常に複雑な性質を持っています。
レスベラトロール(resveratrol)
ポリフェノールの一種で、これを発見したのは日本の科学者高岡道夫氏です。当初ぶどう自身が持つ抗菌性物質として研究されていたのですが、1990年代後半に皮膚がんの抑制に効果があるという報告があり、その後の研究で抗動脈硬化作用、肥満抑制などの効果が期待されています。
■ 澱(オリ):
ワインの中に時々フワフワ浮かぶ物体、オリが発生していることがあります。
これは、天然のぶどう果汁が発酵して生じる“酒石・酵母カス・ぶどうカス”で、オリが発生することはむしろ自然ともいえる現象です。オリを発生させないようにする唯一の方法に「ろ過」がありますが、この方法は“やりすぎる”とオリだけでなく、ワインの様々な旨味成分をも取り除いてしまうという欠点もあります。
それでも、オリによるクレームが発生しない様わざわざろ過して出荷する醸造元が多い中、本来のスタイルを楽しんでいただこうと近年ではろ過をせず、出来たそのままのワインを出荷したり、風味に影響が出ない様ほんの少しだけろ過をして出荷する醸造元も増えつつあります。
eurovinではその様な醸造元と多く取引をし、お客様にワイン本来の姿を楽しんでいただきたいと願っています。
オリが出ているからと言って嫌がっていては品質の良いワインを自ら拒否する様なものです。
是非、デキャンティングなどで対応してお楽しみいただきたいと思います。
ただし、ワインがはっきりと白濁して透明度がなくなってしまっている場合は、ワイン自体が変質している可能性が高いと言えるでしょう。
■ 酒石酸(Tartaric Acid):
瓶の底、あるいはワインを開栓した時にコルク栓の下面に時々ワインシュタインと呼ばれる白くキラキラ光るガラスの様な結晶が見られる場合があります。(赤ワインではまれに色素と一緒に沈殿することがあります。)
これは酒石酸とカリウムからできる酒石酸カリの結晶で、品質的に優れたワインに現れます。特に、ドイツでは「ワインのダイアモンド」と呼んで大変喜ばれます。また、ワインシュタインは白い粉の様に出たり、白く発泡スチロールの様に出たりもします。特に後者はドイツのアウスレーゼ以上の高級ワインにしばしばよく現れます。
これらは、ぶどうに由来する天然物で体には無害ですので、グラスに注ぐ時はワイン瓶の底に残すようにして注ぐか、デカンターに移して召し上がってください。
■ カビ
キャップシールを取るとコルクの上に“黒っぽいカビ”が付着していることがあります。何だか気持ち悪く、もう飲めないのでは…?とよくご質問を受けます。
このカビは、湿度の高い地下貯蔵庫で長く熟成させたワインのコルクの上部に発生したり、まれにワインのびん詰め時のこぼれや、コルク栓からのワインのにじみによってコルクに発生する現象です。
でも、このカビは空気にふれる部分に繁殖するだけでワインの中には成育しません。
特にフランスやドイツ、イタリアなどを訪れ、本格的なワイン蔵をご覧になられた方ならご承知のことと思いますが、彼らはワイン蔵がカビに覆われていることを誇りにしています。
つまり、カビが発生する様な状態がワインには最適であるということをよく知っているのです。
ですから、開栓する際に布巾などできれいに拭き取れば何らワインの品質に悪影響を与えるものではありません。むしろ、よい状態で保管されていた証拠とも言えるでしょう。
ワインの糖分をアルコールに変えるのは、酵母(イースト)の働きです。酵母は、細菌の一種で小さく肉眼では見えません。
実際ワインの発酵に関わるのは、単一の酵母ではなく、初期段階ではクロエッケラ属、カンジダ属などで、アルコール濃度が上がるに従ってクリプトコッカス属、ピキア属が取って代わり、さらにアルコール濃度が4-6%に上がるとアルコールの存在下でも活動できるサッカロミセス・セレヴィシエが最後のプロセスを引き継ぎます。さらにアルコール度数が12%ぐらいに達すると、アルコール発酵が止まります。
こうして糖分が完全にアルコールに分解されると、辛口ワインになります。発酵を途中で止めるとアルコール度数が低く保たれて、甘口ワインができあがります。また発酵プロセスでは糖分がアルコールに変わるだけではなく、同時に400種もの揮発性化合物が生み出され、ワインそれぞれの風味を作り出すのです。
赤ワインと、ある種の白ワインでは、マロラクティック発酵(malolactic fermentation)と呼ばれる二次発酵を行います。ぶどう由来の主な有機酸は、酒石酸とリンゴ酸ですが、このうちリンゴ酸(malic acid)が乳酸菌によって乳酸(lactic acid)と二酸化炭素に分解されるプロセスがマロラクティック発酵です。
この結果酸味が弱くなりまろやかになると同時に、乳酸エチルエステル、アセトイン、ジアセチルなどの芳香成分が生成します。この中の乳酸エチルエステルは、ワインのいわゆる「ボディ」を強めます。
ワインに香りを与えているのは揮発性物質です。 もともとぶどうが持っていたものもありますが、発酵や熟成過程で二次的に発生するものの方が、はるかに多く400種以上も見つかっています。
スミレの香りは、β-イオノン(ionone)。 イチゴはフラネオール(furaneol)。バラはフェネチルアルコール(phenethyl alcohol)など化学的には芳香環と呼ばれるいわゆる"亀の甲"に水酸基(-OH)がついたものが多いです。
オーク樽で熟成させたワインに加わる、バニラの香りは、アルデヒド類の一種バニリン(vanillin)。 最も重要なオーク風味にはβ-メチル-γ-オクタラクトン(オークラクトンとも呼ばれる)があります。オークラクトン単独ではココナッツの香りですが、ワインの中では強いオークの香りにもなります。貴腐ワインの甘く香ばしいナッツの香りの元となるソトロン(sotolon)もラクトン類の一つです。 クローブ(丁子)のような香りの成分はオイゲノール(eugenol)で、揮発性フェノールの代表です。また焦げたような匂いを与える成分にグアイアコール(guaiacol)があります。
ボトルの裏に「REEFER」と記されたワインにお気づきの方もおられるでしょう。 このワインが、生産者から15℃前後の一定温度に保たれたコンテナーで輸送されていることを意味します。 私達の扱うワインにはオーガニックワインが多く含まれますので、その品質を維持するために全てリーファーで輸入しています。
ホットワインは、グリューワイン(Glühwein 独)、ヴァン・ショー(Vin Chaud 仏)、マルドワイン(mulled wine 英)などと呼ばれ、ワインに香辛料を加え温めて飲むワインカクテルの一種です。
赤ワインが使われることが多いですが、少し甘みのある白ワインなども使われます。オレンジの皮、シナモン、クローブなどの香辛料に砂糖やシロップなどを加えて、火にかけて温めます。日本でも、このようなミックススパイスが輸入されていて、手軽に楽しんで頂けます。
今年のように厳しい冬には、ホットワインをいかがでしょうか? 体の中から温まりますよ。